巨匠の作品に会いたい!日本の美術館 ゴッホ編【アートライフ】

巨匠画家の、本物の絵画を生で見たい!そんな純粋で、直球のあなたへのガイド、お任せください。今回は本物のゴッホの絵を日本国内でご覧いただける、常設館をご案内。こちらでは国内所蔵で現在展示されている油彩の作品のみ紹介します。絵画好きの方は絶対に見逃せませんよ。

ポスト印象派の代表格といえるゴッホは、37年という短い生涯に印象派や日本の浮世絵の影響を受け、鮮烈な色彩と力強いタッチの独特の画風を確立しました。

ゴッホの生涯についてはこちらへどうぞ。

「炎の画家ゴッホ」前編へ

山形美術館

雪原で薪を集める人々

ゴッホは画家を目指す前にベルギー南部の炭坑で伝導師として働いていました。その経験から農民や労働者の習作を多数制作しています。また、ジャン・フランソワ・ミレーの農民や田舎の風景をテーマにした作品からの影響があったと思われ、農民がモデルとなった数多くの作品を制作しました。

《雪原で薪を集める人々》1884年 油彩/カンヴァス 67.0×126.0 cm

山形美術館
〒990-0046 山形県山形市大手町1-63 TEL:0241-37-1088
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで) ※詳しくはホームページをご確認ください。山形美術館HP

山形美術館は、開館時には日本画主体の美術館でしたが、1985年の新館オープンの際に荻須高徳の指導によって収集した服部コレクションや吉野石膏からの寄託作品などから、東北有数のフランス近代絵画美術館として広く知られることとなりました

諸橋美術館

座る農婦

これもミレーの影響である農民をテーマにしたものです。これはその時代の作品の一つ。 彼女の手がしっかりと組まれている様子と彼女の顔の表情から、モデルとして役割を果たしている緊張感を感じます。 絵の濃い色調と重厚な表面は農民の厳しい生活を伝えています。

《座る農婦》1884-85年 油彩・カンヴァス 36.0 × 26.0 cm

諸橋美術館
〒969-2701 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093番23 TEL:0241-37-1088
開館時間:9:30~17:30 ※詳しくはホームページでご確認ください。諸橋美術館HP

シュルレアリスムの巨匠サルバドール・ダリの作品において世界第4位の所蔵数で、ダリの出身国スペイン国外の所蔵数はアメリカに次いで世界第2位。アジアで唯一のダリ常設美術館として知られています。

ウッドワン美術館

農婦

1979年のロンドンオークション以降、所在不明になっていましたが、2003年2月に日本で開催されたオークションで画家中川一政コレクションの一枚として出品され、ファン・ゴッホ美術館の鑑定により真作である事が判明。大きな話題を呼びました。

《農婦》1885年 油彩/カンヴァス 41.3×34.9cm

ウッドワン美術館
〒738-0301広島県廿日市市吉和4278 TEL:0829-40-3001
開館時間:10:00~17:00 休館日:月曜
※詳しくはホームページでご確認ください。ウッドワン美術館HP 


標高600mの高地・広島県北西部の西中国山地に立つ美術館。原生林の残る豊かな自然に囲まれ、澄んだ空気のなかで美術鑑賞ができます。ゴッホ、ルノアールが特に有名。

東京富士美術館

鋤仕事をする農婦のいる家

ミレーを崇拝するゴッホにとって農民が暮らす場所を描くことは、生活の厳しさや自然との深い結びつきを表現する重要なモチーフでした。

ゴッホは愛情を込め農民の家をミソサザイの巣にたとえ「農民の巣」と呼んでいます。大地に根ざして生きる農民のたくましさを力強いタッチと落ち着いた色調で表現しています。

《鋤仕事をする農婦のいる家》1885年 油彩/カンヴァス 30.5×40.0cm

東京富士美術館
〒192-0016東京都八王子市谷野町492-1 TEL:042-691-4511
開館時間:10:00~17:00(16:30受付終了)休館日:毎週月曜日
※詳しくはホームページでご確認ください。東京富士美術館HP


「世界を語る美術館」をモットーに、西洋・東洋の様々な芸術作品(絵画、彫刻、版画など)約3万点を所蔵。なかでもルネサンスから現代にいたる西洋絵画500年の流れを概観することを可能にする名作およそ100点は常設展示されています。

ブリヂストン美術館

モンマルトルの風車

1886年春、ゴッホはアントワープからパリに到着した際、モンマルトルの丘に弟のテオと2人で住んだそうです。この作品は、モンマルトルの風車にある、ダンスホール「ル・ムーラン・デ・ラ・ガレット」の後ろから見た風景。

約10年前のルノワールの同じダンスホールの活気に満ちた豪華な絵画と比べて、ゴッホによるこの絵はシックに落ち着いてます。オランダ時代の作品と比べると、以前では見られなかった明るい色調ですね。

《モンマルトルの風車》1886年 油彩・カンヴァス 48.0 × 40.0 cm

ブリヂストン美術館
〒104-0061 東京都中央区銀座1-19-7 銀座一丁目イーストビル7階 TEL:03 3563 0241
開館時間:9:30~5:30 ※詳しくはホームページでご確認ください。ブリジストン美術館HP

公益財団法人石橋財団が運営している私立美術館。現在は休館中で、2019年7月に「アーティゾン美術館」(ARTIZON MUSEUM)と改称し、2020年1月にオープン予定。

ポーラ美術館

ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋

アルル到着後まもなく制作された作品でヴィゲラ運河のグレーズ橋はアルルの南に位置していました。橋と土手の黄色、空と運河の水面の青色に加え、橋上の人物や奥に広がる低木材、ボート、洗濯女たち、水面の煌きなどにアクセントとして赤を用いています。

《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》
1888年 油彩・カンヴァス 46.8 x 51.3 cm
 

草むら

サン・レミのサン・ポール精神療養院に入院した彼は病気が小康状態のときには制作を行い、病室の窓から見える風景や庭の草花や木々、病院近くのオリーヴ園、糸杉のある風景などを描いたそうです。

《草むら》1889年 油彩・カンヴァス 44.5 × 49.0 cm

アザミの花

1890年6月にガシェ医師の家でモチーフを見つけて描いた数点の野花の静物画のうちの1点です。テーブルや花瓶を区切る輪郭線は日本の浮世絵版画の影響を感じさせます。

外側に広がるアザミの鋸歯状の葉や麦穂、花瓶の同心円状のタッチ、背景にみられる垂直と水平方向に交差したタッチは、線と色彩、画肌の効果の追究の成果を示しています。

《アザミの花》1890年 油彩・カンヴァス 40.8 × 33.6 cm

ポーラ美術館
〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285 TEL:0460-84-2111
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)年中無休(ただし展示替のための臨時休館あり)
※詳しくはホームページでご確認ください。ポーラ美術館HP


印象派絵画のコレクションは日本最大級の美術館。ポーラ化粧品で知られるポーラ創業者2代目であった鈴木常司が2002年9月に開館しました。収蔵作品数は約10,000点。富士箱根伊豆国立公園に位置し、ブナやヒメシャラなどが見られる遊歩道があります。

損保ジャパン日本興亜美術館

ひまわり

ゴーギャンがアルルにやって来る事を心待ちにしていたゴッホが、ゴーギャンの部屋を飾るため、1888年8月に描いた一枚、現在ロンドンのナショナルギャラリー所蔵の《ひまわり》を元に12月に描かれたもの。ロンドンの作品と同じように黄色の背景に花瓶に生けられた15本のひまわりが描かれています。しかし細部は微妙に異なっており、この時期色彩や筆触の研究を重ねていた事が見てわかります。

《ひまわり》1888年 油彩/カンヴァス 100.5×76.5cm


損保ジャパン日本興亜美術館
〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階 TEL:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
※詳しくはホームページでご確認ください。損保ジャパン東郷青児美術館HP

新宿高層ビル42階に位置し、展望回廊からは房総半島にかけ、雄大な眺望も楽しめる副都心の美術館。現在の所蔵作品は、ゴッホの他、ゴーギャン、セザンヌ、グランマ・モーゼズ、ルノワールなど650点。

国立西洋美術館

ばら

この作品はこれまで、サン=レミに移る以前、アルル時代最後の時期の作品とされてきましたが、サン・レミ療養院の庭の隅を描いたものとする修正意見が1985年のゴッホ展(国立西洋美術館)で提出されました。当初、病院の医者はゴッホの行動と制作の範囲を病院の庭に限定したため、5月の間はもっぱら庭のモチーフを描いたようです。

《バラ》油彩/カンヴァス 1889年 33.0 x 41.3 cm

国立西洋美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7 TEL:(03)5777-8600
開館時間:9:30~17:30 金曜・土曜日:9:30~20:00
※詳しくはホームページをご確認ください。国立西洋美術館HP


東京都台東区の上野公園内にある、西洋の美術作品を専門とする美術館。「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産として世界文化遺産に登録されています。

笠間日動美術館

女性のいるサン・レミの道

1889年サン・レミ療養院に入院時の作品。サン・レミにある小さな路の終わりに家に向かって歩いている女性を描いています。 路の側面は、秋を感じさせる緑と黄色の植生で覆われていて、筆のタッチが秋風がそよいでいるようにも見えます。ブラシワークが力強く独特ですね。女性像を囲む、強い黄色と緑色の植生と青い空とのコントラストが印象的です。

《女性のいるサン・レミの道》1889-90年頃 油彩/カンヴァス 33.5× 41.2cm

笠間日動美術館
〒309-1611 茨城県笠間市笠間978-4 TEL:0296-72-2160
開館時間:9:30~17:00 休館日:毎週月曜日
※詳しくはホームページをご確認ください。笠間日動美術館HP


日本を代表する画商、日動画廊系列美術館。西洋の近代、日本の近・現代の巨匠が描いた絵画を中心に3千点を超える所蔵品があります。中でも、国内外の著名画家が愛用したパレット画コレクションは340余点という他例のない美術史的にも貴重なコレクションとなっています。

メナード美術館

一日の終り(ミレーによる)

ゴッホは、ミレーの版画に主題や構図を借りながらも独自の色彩表現を追求し、模写を超えた独特な世界を多く描いています。本作品はサン・レミ時代に描かれたもので、ミレーの複製木版画『一日の四つの時』のうちの《一日の終り》を模写したものです。

作業を終えた農夫が帰り支度をする、夕暮れ時の情景が粗い描画風のタッチで描かれ、空を彩る黄色と菫色が瑞々しく感じられます。

《一日の終り(ミレーによる》
1889-90年頃 油彩/カンヴァス 72.0 ×94.0 cm

メナード美術館
〒485-0041 愛知県小牧市小牧5-250 TEL:0568-75-5787
開館時間:10:00~17:00 休館日:毎週月曜日
※詳しくはホームページをご確認ください。メナード美術館HP


1987年日本メナード化粧品創業者の野々川大介と夫人の野々川美寿子が中心となって収集した美術コレクションをもとに建設されました。印象派以降の西洋絵画、明治以降の日本人作家による日本画・洋画を主体とする他、版画、彫刻、工芸などの近現代美術及び古美術等の約1,400点を収蔵しています。

ひろしま美術館

ドービニーの庭

ゴッホが敬愛したバルビゾン派の画家、シャルル=フランソワ・ドービニー(1817年~1878年)の邸宅と庭。ゴッホが37歳で亡くなる約2週間前に描いた最晩年の代表作のひとつで、スイス・バーゼル美術館に所蔵の同名作品(「炎の画家ゴッホ」後編 Page-2参照)を模写したものです。

バーゼル版には左下に猫が描かれていますが、本作品ではその部分が塗りつぶされた形跡が見え、この部分を巡って猫が描かれていたのかどうかの議論がなされてきました。2008年エックス線照射で解析した結果死後、1901年に開かれた『ゴッホ回顧展』のための修復時に加筆され、猫が消された可能性が高い事が解っています。

また、バーゼル版には右下にタイトルサイン『ドービニーの庭』が入っていますが、ひろしま版には入っていません。ひろしま版はゴッホの意向で彼の死後、弟テオがドービニー夫人に贈ったもの。普通寄贈する場合サインを入れて渡しますが、テオは間違えてサイン無しの絵を渡したのではないか、との見解もあるようです。もし正しく渡されていたら、作品は逆になっていた事になりますね。

《ドービニーの庭》 1890年 油彩/カンヴァス 53.2 ×103.5 cm
ひろしま美術館

〒730-0011 広島県広島市中区基町3-2 TEL:082-223-2530
開館時間:9:00~17:00 休館日:毎週月曜日
※詳しくはホームページをご確認ください。ひろしま美術館HP


広島銀行が創業100周年を記念して1978年に地域の為に設立した美術館。建物は原爆ドームのイメージを取り入れ、平和への祈りを込めた建築となっています。所蔵作品は300点ですが、日本屈指の印象派コレクションを誇り、ドラクロワなどのロマン派かえあエコールドパリまで、フランス近代美術150年の変還を巡る事ができます。

まとめ

巨匠の作品に会いたい!日本の美術館 ゴッホ編、いかがでしたでしょうか?今回は常設展示してあるものを中心に紹介しました。近郊にお住まいの方、またご旅行などにご活用いただけると幸いです。

日本の美術館には、意外に多くの世界の画家の絵画の所蔵があります。ゴッホ作品はこの他にもエッチングによる版画なども存在していますが、季節展示や企画展示になります。

もし、ご観覧に出かける場合は、貸し出し中の作品もありますので、詳しくは各館へお問い合わせ下さい。

また、映画『ゴッホ 最後の手紙』(2017年)というかつて無かった絵画表現で構成された素晴らしい映画がありますのでご覧になってない方は是非。いまだ議論されている晩年のゴッホについて、サスペンスドラマが展開されています。

それでは良きアートライフを!

最初のコメントをしよう

必須